AIは”詐欺師”にもなれる──有名人ディープフェイク詐欺「Nomani」が日本で43%増加
セキュリティ企業ESETが2026年4月末に発表した報告で、有名人のディープフェイク動画を使って偽ニュースサイト経由でフィッシングサイトに誘導するAI詐欺「Nomani」の日本での検出件数が前年比約43%増加していることが明らかになった。本記事では手口の構造、見分けるための5つのチェックポイント、家庭・学校で話し合うべきことを整理する。
「あの有名人が投資で成功」──その動画広告、本当に本人だと思う?
AIが作った偽の動画で人をだます詐欺が、日本でも急増している。2026年、私たちが相手にしているのは「詐欺師としてのAI」だ。
🟨 この記事のポイント(1分で理解)
- 有名人のディープフェイク動画を使ったAI詐欺「Nomani」の検出が、日本で前年比約43%増加
- 手口は「偽の動画広告 → 偽のニュースサイト → フィッシングサイト」の3段構え
- 世界の詐欺被害は推定4,420億ドル(約66兆円)規模。成人の約3人に1人が詐欺被害や詐欺接触を経験したとの調査もある
- SNS広告で「有名人が○○を推薦」と出たら、まず疑ってリンクを踏まない習慣が重要
AIディープフェイク詐欺「Nomani」とは何か
2026年4月27日、セキュリティ企業ESETがプレス発表会で報告した内容が注目を集めている。著名人のディープフェイク動画や偽のニュースサイトを使って、フィッシングサイトへ誘導する詐欺攻撃「Nomani(ノマニ)」の日本での検出件数が、2024年から2025年にかけて約43%増加しているという。
「Nomani」という名称は「No Money(お金がない)」をもじったもので、ESETがこの詐欺キャンペーンに付けた追跡名であり、一般的な呼称ではない。この手口の大きな特徴は、AIを使って有名人の顔や声を非常に精巧に再現した偽動画を広告として配信し、信頼性を演出する点にある。
同時期にINTERNET Watchで紹介されたTrend Microのレポート「2026 Scam Predictions」でも、2026年に私たちが直面するのは「詐欺師としてのAI(AI as Scammer)」だと警告されている。世界の詐欺被害は推定4,420億ドル(約66兆円)規模に達し、成人の約3人に1人が過去1年間に何らかの詐欺被害や詐欺接触を経験したという調査もある。
なぜこの詐欺が危険なのか
これは「だまされやすい人」だけの問題ではない。AIの進化で、誰もが見分けられないレベルの偽動画が量産されている。
従来のフィッシング詐欺は、不自然な日本語のメールや明らかに怪しいサイトが多く、注意していれば気づけるものだった。しかしAI技術の進歩で状況は大きく変わっている。
Nomaniの手口は3段階で構成される。まず、SNS(Instagram、Facebook、YouTubeなど)に有名人のディープフェイク動画を使った広告を表示する。次に、その広告をクリックすると本物そっくりの偽ニュースサイトに誘導される。そこで「有名人○○も推薦する投資サービス」などと信頼感を高めた上で、最終的に個人情報やクレジットカード情報を入力させるフィッシングサイトに到達させる。
この「動画広告 → 偽ニュースサイト → フィッシングサイト」という多段階の構造が巧妙なのは、途中に「ニュースサイト」を挟むことで信頼性を高めている点だ。広告だけなら怪しいと思っても、ニュースで報じられているように見えると信じてしまう人が増える。
危険なのはAI動画そのものではなく、「本物らしく見える情報を大量に、低コストで作れるようになった」ことだ。これまでなら不自然な日本語や雑なデザインで気づけた詐欺サイトや広告も、AIによって”自然に見える”ものへ変わりつつある。AI動画、SNS広告、偽ニュース、心理的な焦らし──これらが組み合わさることで、従来とは質の違う脅威になっている。
AI詐欺を見分ける5つのチェックポイント
完璧に見分けることは難しくなっているが、以下の点に注意すると被害を防げる確率は上がる。
1. 「有名人が推薦」は最大の警告サイン
著名人が特定の投資サービスや商品をSNS広告で直接推薦することは、実際にはほとんどない。有名人の名前や顔を使った広告が出てきたら、まず疑ってかかるべきだ。
2. 動画の不自然さをチェック
ディープフェイク動画は精度が上がっているが、口の動きと音声のわずかなズレ、まばたきの不自然さ、背景の揺れなどに違和感が残ることがある。ただし、これだけで判断するのは難しくなっているため、他のチェックポイントと組み合わせることが重要だ。
3. URLを確認する
偽ニュースサイトのURLは、有名メディアに似せているが微妙に異なる。リンクを開く前にURLを長押し(スマホ)またはホバー(PC)で確認し、見慣れないドメインであれば開かない。
4. 「急いで」「今だけ」は要注意
詐欺では特に「急がせて冷静な判断を奪う」手口が多い。「残り○名」「本日限り」などの表現で焦らされた場合は、一度立ち止まって冷静に考える。正規のサービスでもこうした表現は使われるが、広告経由かつ個人情報入力を求められる場合は特に警戒が必要だ。
5. 公式サイトや公式アカウントで直接確認
広告に出てきた有名人の名前を検索し、本人の公式サイトやSNSアカウントでその推薦が事実か確認する。本物の推薦であれば、公式アカウントでも言及されているはずだ。
家庭・学校でできること
- 「有名人の広告は疑う」を家族のルールにする:SNSで有名人が何かを推薦している広告を見つけたら、まず家族に共有して一緒に確認する習慣をつける
- フィッシング対策ソフトを導入する:セキュリティソフトのフィッシング対策機能を有効にしておくことで、偽サイトへのアクセスをブロックできる場合がある
- 「こんな広告が出てきた」と話す場をつくる:子どもがSNSで怪しい広告を見ても、怒られると思って黙っていることがある。「見つけたら教えてね」という雰囲気づくりが大切
- 学校での情報モラル教育に取り入れる:AI生成コンテンツの見分け方を授業のテーマとして扱うことで、生徒自身が判断力を高められる
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中高生のみんなへ
SNSを見ていると「有名な○○さんが投資で大儲け!」みたいな動画広告が出てくること、ない? あれ、実はAIで作られたニセモノかもしれない。
最近のAI技術はすごくて、有名人の顔と声を非常に精巧に再現した動画を作れるようになった。詐欺グループはこれを使って「○○さんも推薦!」という広告をSNSに流して、クリックした人を偽のサイトに誘導する。そこで個人情報やお金をだまし取る──これが「Nomani(ノマニ)」と呼ばれる手口だ。
「自分は関係ない」と思ってない?
投資詐欺なんて大人の話でしょ? と思うかもしれない。でも、同じ技術を使って「推しのライブチケットが当たる」「限定グッズが無料でもらえる」みたいな広告が出てきたらどうだろう。AIが作った偽広告のターゲットは、大人だけじゃない。
大事なのは「広告に出てくる人が本物かどうか」を考えるクセをつけること。公式アカウントを確認する、URLをチェックする、「急いで!」に焦らない。これだけで、かなりの詐欺を避けられる。
覚えておいてほしいこと
SNSで「有名人がおすすめ」という広告を見たら、まずリンクを踏まない。
その有名人の公式アカウントを自分で検索して、本当にそんな話をしているか確認しよう。
「今すぐ」「残りわずか」と急かされても、一晩おくだけで判断は変わる。
💬 友達や家族と話してみよう
「SNSで怪しい広告見たことある?」──意外とみんな見ているかも。見たことがある人がいたら、どう対処したか聞いてみよう。
✔
AI詐欺にだまされないチェックリスト
スクショして保存しておくのがおすすめ。SNSで気になる広告を見つけたら、以下の5つを確認してみよう。
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① その有名人は本当に推薦している?
公式アカウントやWebサイトで、同じ内容が発信されているか確認しよう -
② URLは正規のものか?
リンクを開く前にURLを長押し(スマホ)で確認。見慣れないドメインなら開かない -
③ 「今すぐ」「残りわずか」と急かされていない?
詐欺では特に「急がせて判断力を奪う」手口が多い。焦ったら一度画面を閉じよう -
④ 個人情報やカード情報の入力を求められていない?
広告経由で個人情報を入力するのは極めて危険。公式サイトから直接アクセスしよう -
⑤ 家族や友達に「こんな広告あったよ」と共有した?
1人で判断せず、誰かに話すだけで冷静になれる
迷ったら、リンクを踏まない。
それだけで、AI詐欺の被害は大きく減らせる。
関連情報・参考リンク
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