オレオレ詐欺の74.3%が「ニセ警察詐欺」に──家族で共有したい4つの『ありえない』サイン
警察庁が発表した令和7年の暫定統計で、オレオレ詐欺14,393件のうち74.3%が警察官をかたる「ニセ警察詐欺」だった。30代973件・20代884件と若い世代の被害も急増している。SNS・ビデオ通話への誘導、偽の警察手帳や逮捕状の提示など、巧妙化する手口と、家族で共有しておきたい本物の警察が絶対にやらない4つの行動を整理する。
オレオレ詐欺の74.3%が、いま「ニセ警察詐欺」になっている。
警察庁の発表によれば、令和7年のオレオレ詐欺認知件数14,393件のうち、警察官をかたる手口が10,696件を占めた。被害者は30代・20代も急増していて、もはや「高齢者だけの問題」ではない。家族でぜひ共有しておきたい4つの「ありえない」を整理する。
🟨 この記事のポイント(1分で理解)
- 警察庁の令和7年暫定統計で、オレオレ詐欺認知件数14,393件の74.3%が「ニセ警察詐欺」だった
- 被害者は30代973件・20代884件と若い世代でも急増しており、「高齢者だけの問題」ではない
- SNSやLINEのビデオ通話に誘導し、偽の警察手帳や逮捕状を提示する手口が中心
- 警察署の電話番号を偽装表示する手口も報告されている(警視庁注意喚起)
- 警察庁・警視庁が注意喚起している「本物の警察が行わない4つの行動」を家族で共有しておけば、多くの被害は初期段階で見抜ける助けになる
警察庁発表で見えた「ニセ警察詐欺」の規模
警察庁が2026年2月13日に公表した暫定値によれば、令和7年(2025年)のオレオレ詐欺認知件数は14,393件。そのうち、警察官をかたって「あなたは詐欺事件の共犯になっている」「逮捕状が出ている」などと不安をあおって金銭をだまし取る「ニセ警察詐欺」が10,696件を占めた。その割合は、実に74.3%に達する。
従来「オレオレ詐欺」と聞いて思い浮かべる「息子や孫を装って電話してくる手口」は、いまや少数派になっている。オレオレ詐欺の中心は、警察官を名乗る手口に置き換わってきた。
さらに警察庁の令和7年上半期統計によれば、ニセ警察詐欺の被害者の年代別では30代が973件で最多、次いで20代が884件と、若い世代に被害が集中していることが明らかになった。デジタルネイティブと呼ばれる世代が、なぜこれほど大量に被害に遭っているのか──ここから先は、家庭で話し合うべきテーマになる。
なぜ重要なのか
「うちの祖父母は気をつけているから大丈夫」だけでは、もう不十分かもしれない。20代・30代の子どもや孫世代こそ、いま被害の中心にいる。
これまで詐欺対策の啓発は、ほぼ高齢者向けに偏っていた。家族でも「おじいちゃん・おばあちゃんに気をつけてもらおう」というメッセージが中心だったはずだ。しかし警察庁の統計は、その前提を根本から書き換えるものだ。
JBpressは「意外にも20〜30代の被害が急増、なぜデジタルネイティブ世代が簡単に騙されてしまうのか」と特集している。スマートフォンやSNSの操作に慣れている世代だからこそ、「LINEで警察官と通話する」という流れが、不自然に感じられない可能性がある。「本物の警察はそんなことしないはずだ」という常識が、世代によって薄い場合があるのだ。
これは家庭にとって、二重の意味を持つ問題だ。家族の中で誰がいちばん被害に遭いやすいかを見直す必要があり、同時に祖父母世代に伝える知識を、家族全員が共通言語として持つ必要も出てくる。
「ネット時代の詐欺」に変わってきている
ニセ警察詐欺は、単に「詐欺の手口が新しくなった」というだけの話ではない。詐欺そのものが、固定電話の時代から、スマートフォン・SNSの時代に作り替えられてきているということだ。家族で話し合うときの理解の土台として、新旧の対比を整理しておきたい。
こうして見ると、ニセ警察詐欺はスマホとSNSがある日常を前提に組み立て直された詐欺だとわかる。だからこそ「祖父母世代の問題」では済まなくなっている。同じく信頼関係や人間関係を悪用するという意味では、最近の闇バイトが「友達からの誘い」へと入口を変えている動きとも構造的に通じるところがある。
「画面に映ったものは本物」という思い込みを突かれている
ニセ警察詐欺の本質は、技術的にどうこうという話ではない。「スマホの画面に映っている情報は信頼できる」という、私たちが日常的に持っている前提そのものが利用されている。
例えば、典型的な手口の中にはこういった要素がある。
- 着信画面に実在する警察署の電話番号が表示されている → 番号は本物に見える
- LINEのビデオ通話でスーツを着た男性が警察手帳を画面越しに提示する → 制服や手帳は本物に見える
- 送られてきた画像に自分の実名が記載された逮捕状が映っている → 文書は本物に見える
これらに共通するのは、すべてが「画面に映る情報」だけで本物らしさを演出しているという点だ。逆に言えば、画面の外で確認すれば、ほぼすべてが嘘だとわかる。電話番号は折り返せば本物ではないし、警察手帳や逮捕状は対面でしか提示されない。
これは「ネットリテラシー」と呼ばれる力の中核に関わるテーマだ。「画面に出ているから本物」ではなく、「画面の外で確かめる手段があるか」で判断する──この姿勢を家族で共有しておくことが、特定の詐欺手口を覚えるよりもずっと長持ちする防御になる。同じ発想は、銀行や宅配便を装うフィッシング詐欺への対策でもそのまま使える。
「ITに詳しい」と「騙されない」は別の力
もう一つ重要なのが、スマートフォンの操作に慣れていることと、詐欺に騙されないことは別の能力だという点だ。デジタルネイティブと呼ばれる20〜30代の被害が多い背景には、この錯覚がある。
LINEのビデオ通話の操作も、画面共有も、ファイル受信も、若い世代にとっては日常の動作だ。だからこそ「LINEで警察対応」と言われても、技術的には何の違和感もなく受け入れてしまう。「操作に詳しい」ことが、逆に「これは普通の連絡手段だ」と感じさせる罠になってしまう。同じ「慣れているからこそ油断する」構造は、SNS投稿のデジタルタトゥー(一度ネットに残った記録は消えにくいという問題)でも繰り返し起きている。
同時に、詐欺師は知識の差ではなく、心の動揺を狙ってくる。「あなたは逮捕される」「家族に迷惑がかかる」「今すぐ対応が必要」──こうした言葉で焦らせ、考える時間を奪う。LINEヤフー社のインタビューに答えた専門家も「犯人側は『電話を切らせない』ことをとても重視している」と指摘している。
つまり、被害に遭うのは「ITに疎い人」でも「知識のない人」でもない。焦らされた人だ。これは、誰にでも起こりうる。「自分は大丈夫」という思い込みこそが、最も危ない前提になる。
ニセ警察詐欺の典型的な流れ
警察庁・警視庁などの注意喚起資料から、典型的な被害フローを整理すると次のようになる。
① 不安をあおる電話がかかってくる
「あなたの口座が犯罪に使われている」「あなたの携帯電話が不正契約に使われた」「マネーロンダリング事件の容疑者があなたから口座を買い取ったと供述している」──こうした内容で警察官を名乗る人物から電話がかかってくる。
最近報告されている手口では、実在する警察署の電話番号を着信画面に偽装表示するケースもある。警視庁が2026年4月に注意喚起を出している通り、表示された番号だけでは本物か判断できない時代に入っている。「+」から始まる国際電話番号からかかってくるケースも多い。
② SNS・LINEのビデオ通話に誘導される
電話の途中で「捜査の続きはLINEで行う」「SNSで被害届を受理する」などと言われ、メッセージアプリへの移行を求められる。ビデオ通話が始まると、画面の向こうの「警察官」は、警察手帳や逮捕状の画像を見せてくる。被害者の実名が記載された逮捕状を提示するケースも報告されている。
③ 「身の潔白を証明するため」と金銭を要求される
「身の潔白を証明するには、口座のお金を一時的に保護する必要がある」「資産調査のために、指定口座に振り込んでほしい」などと言われ、金銭の振込や暗号資産取引口座への送金、インターネットバンキングの操作などを求められる。「捜査の内容は誰にも話してはいけない」「長期間勾留される可能性がある」と強く口止めされる点も共通している。
④ 若い世代に多い派生手口
LINEヤフー社が2026年2月に公開した専門家インタビュー記事では、金銭被害だけでなく性的被害につながる派生手口が確認されていることが報告されている。「容疑者があなたを共犯と供述しているため、身体的特徴を確認する必要がある」などと言って、ビデオ通話の映像を不適切に求めるケースだ。若い女性、特に学生・社会人初期の女性に対しての事案として警戒する必要がある。なお、いったん撮影・送信された映像はAI加工で別の用途に転用されるディープフェイク被害に発展する可能性もある。
本物の警察が行わない4つの「ありえない」(警察庁・警視庁の整理)
家族で共有しておきたい最大のポイントが、これだ。警察庁および各都道府県警察が注意喚起資料で繰り返し示している、本物の警察が現在の捜査プロセスで行わない4つの行動を整理する。これは特定の詐欺記事の独自整理ではなく、公的機関が一貫して発信している基準だ。
これを家族全員で共有しておけば、ニセ警察詐欺の主要な手口を初期段階で見抜く助けになる。
🚨 警察庁・警視庁が注意喚起している「本物の警察が行わないこと」
- SNSやLINE等のメッセージアプリで連絡しない(警察庁が公式に注意喚起)。捜査・取り調べのためにLINEに誘導することはない
- 警察手帳や逮捕状の画像を送らない。本物の手帳・逮捕状は対面でのみ提示される
- スマートフォンでビデオ通話による捜査連絡を行わないと、警察庁・警視庁が注意喚起している。LINE等のビデオ通話で警察手帳を見せる事案は、現時点では詐欺と考えてよい
- 「+」から始まる国際電話で連絡しない。日本の警察が国際電話で被害者に連絡することはない
このうち1つでも当てはまれば、その時点で電話を切ってよい。先ほどの「画面に映る情報を信じる心理」とも合わせて考えると、詐欺の手口は今後も変化していくが、本物の警察の「やらないこと」は急には変わらない。だからこそ、変わる手口を追いかけるよりも、変わらない基準を一つ家族の中に置いておくほうが、ずっと長持ちする防御になる。
家庭で共有したいこと
- 4つの「ありえない」を冷蔵庫に貼る: 紙に書き出して、家族の目につく場所に貼っておく。電話を受けた瞬間に思い出せる仕組みが重要
- 「警察を名乗る人物から電話があった」と気軽に話せる空気を作る: 被害者の多くが「家族に知られたくない」と相談を遅らせている。一人で抱え込まない文化を家庭内に作る
- 子ども(20〜30代の社会人含む)にも統計を伝える: 「自分は若いから大丈夫」という思い込みが最も危険。30代と20代が被害件数の上位という事実を共有する。あわせてフィッシングメールの最新手口のように、メール・SMS経由の詐欺パターンも一度家族で目を通しておくと有効
- 疑ったらすぐに#9110(警察相談専用)に電話: 110番より#9110が適している。電話を切ったうえで、自分から#9110にかけ直す。表示された番号にかけ直してはいけない
- 女子学生・若い女性がいる家庭は性的搾取手口にも注意: 「身体的特徴の確認」を求められたらすべて詐欺。被害に遭った場合に家族に相談しやすい空気が決定的に重要
ニセ警察詐欺の本質は、「警察」という社会の中で最も信頼される存在を装い、画面に映る情報の信頼性を悪用することにある。だからこそこの記事は、特定の手口を覚えるだけで終わらず、「画面の外で本物かどうかを確かめる習慣」を家族で共有する方向に向かいたい。ITの操作に詳しいことと、騙されないことは別の力だ。焦らされたら一度電話を切り、自分から#9110にかけ直す──この単純な手順が、変わり続ける詐欺の手口に対して、最も長く効く防御策になる。
関連情報・参考リンク
このニュースについて、さらに詳しく知るための情報です。
📰 元記事・統計データ
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🔗警察庁・SOS47
令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値) -
🔗LINEヤフー株式会社
その電話、本当に警察? 専門家に聞く、「ニセ警察詐欺」の手口と対策(2026年2月) -
🔗警察庁・SOS47
ニセ警察官とのビデオ通話(実例動画あり) -
🔗JBpress
激増する「ニセ警察詐欺」、意外にも20〜30代の被害急増、なぜデジタルネイティブ世代が簡単に騙されてしまうのか
📖 公的機関・相談窓口
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🔗警察庁 SOS47 特殊詐欺対策ページ
特殊詐欺の最新手口と対策の総合案内 -
📞警察相談専用電話: #9110
緊急ではない警察への相談(詐欺の疑いがある電話を受けたとき等)
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ℹ️ 外部リンクは新しいタブで開きます。記事が削除されている場合があります。なお本記事は2026年5月23日時点の公開情報・統計に基づいています。手口は今後も変化する可能性があるため、警察庁の最新情報も併せてご確認ください。