銀行・小学校・ピザーラ──1週間で7件、なぜBeRealは“テロ”を生み続けるのか
西日本シティ銀行の支店内動画、仙台市立小学校教員の業務画面、ピザーラ蒲田店の顧客情報、ミスタードーナツ瀬戸店の経理書類──2026年4月の1週間で、写真共有SNS「BeReal」から企業・学校の内部情報がXに流出する事案が7件以上連鎖した。「2分以内に撮らなきゃ」という焦りが生む構造的な事故と、家庭・学校・職場でできる対策を整理する。
「通知が来て、深く考えずに撮影してしまった」──。
これは、ある小学校の20代教諭が事情聴取に答えた言葉だ。同じ言葉が今、銀行・病院・大手通信・飲食フランチャイズの現場で、同時多発的に繰り返されている。
この記事では、写真共有SNS「BeReal」をめぐって2026年4月に7件以上の情報漏えい事案が連鎖した背景と、なぜ同じパターンの事故が業種を超えて起き続けているのか、その仕組みと家庭・学校・職場でできる対策をまとめます。
🟨 この記事のポイント(1分で理解)
- 2026年4月の1週間で7件以上──写真共有SNS「BeReal」から企業・学校の内部情報がXに流出する事案が連鎖発生。
- 業種は銀行・小学校・病院・大手通信・建設機械商社・宅配ピザ・ドーナツ店と多岐。「うちは関係ない」と言える業種がない。
- 原因は個人の不注意ではなく、「2分以内に投稿しないと友達の投稿が見られない」というアプリのUI設計と、「友達限定だから安全」という誤解。
- クローズドSNSでも、閲覧者の1人がスクショ・画面録画してXに転載すれば一瞬で数百万人の目に届く。
- 家庭・学校・職場で「通知が来ても撮らない場面」を共有することが、最初の対策。
2026年4月、何が起きているのか
2026年4月下旬から5月初旬にかけて、写真共有SNS「BeReal(ビーリアル)」を発端とした企業・組織の情報流出事案が、わずか1週間ほどの間に立て続けに発覚した。ITmedia NEWSは「なぜBeRealから漏えいが相次ぐのか」と題して構造的な問題を指摘し、INTERNET Watchの編集部コラムは「職場・学校を映したSNS投稿はユーザー自身の安全のため停止を」と異例の呼びかけを行うなど、ネット系メディアが警告を強めている。
BeRealは2020年にフランスでリリースされたSNSアプリで、1日1回、ランダムなタイミングで届く通知から2分以内に、スマートフォンの前後カメラで撮影した「周りの様子」を投稿する仕組みを持つ。加工・編集はできず、投稿しないと友達の投稿が見られないというペナルティがある。10〜20代を中心に支持され、日本国内では月間アクティブユーザー数百万人規模とされる。
本来は「盛らないSNS」「リアルな日常を共有する場」として親しまれてきたアプリだが、2025年秋から2026年春にかけて、そのリアルさが「企業の機密情報をリアルに撮影してしまう」という事故を生み続けている。
1週間で発覚した7件──業種を問わない連鎖
2026年4月から5月初旬にかけて報道された主な事案を整理すると、以下のとおりだ(公表・報道された内容のみ記載)。
| 発覚時期 | 組織 | 流出した内容 |
|---|---|---|
| 2026年4月初旬 | NTT東日本(社員) | シフト表とみられるPC画面、内示資料。InstagramストーリーズとBeRealへの併用投稿。 |
| 2026年4月21日公表 | 仙台市立小学校(20代女性教諭) | 校内システム(Google Classroom)の画面、学校名・同僚教諭の氏名。仙台市教委が公表。 |
| 2026年4月29〜30日 | 西日本シティ銀行(行員) | 支店執務室の動画、業務目標を書いたホワイトボード。顧客7名分の氏名が映り込み、銀行が謝罪。 |
| 2026年4月30日 | 森康(建設機械部品製造販売・石川県) | 社内メール画面、見積書。取引先企業名が映り込み、巻き込まれた取引先も問い合わせ対応に追われる。 |
| 2026年5月1日 | ピザーラ蒲田店(アルバイト従業員) | 厨房の様子、注文伝票(顧客の氏名・住所・電話番号)、客への暴言。BeReal投稿が複数本Xに転載され大規模炎上。 |
| 2026年5月1日 | ミスタードーナツ瀬戸ルート363ショップ(愛知県) | 店舗名入りレシート、経理関連の表、紙幣を扇状に広げた手元。運営本部のダスキンが事実を認め謝罪。 |
| 2025年11月(再注目) | 岩見沢市立総合病院(委託業者職員) | 受付モニターに表示された患者20人分の名前・主治医・性別。一連の連鎖の中で再び注目された。 |
※上記は各社・各組織が事実を認めた、または市教委・運営会社が公表した事案。報道時点の情報をもとに整理しており、続報により内容が更新される可能性がある。
BeRealから情報漏えいが起きる仕組み
これは「Z世代の問題」でも「特定の業種の問題」でもない。あなたの会社・学校・家庭で明日起きてもおかしくない。
個別の不注意として処理してしまうと、本質を見誤る。これは一部の人のミスではなく、誰でも同じ行動をしてしまうように設計された問題だ。複数の専門メディアが指摘するのは、以下の構造的な要因である。
BeRealで漏えいが続く3つの構造的理由
① 2分ルール──思考を止める焦らせ設計
BeRealは1日1回、ランダムなタイミングで通知が来る。2分以内に投稿しないと、友達の投稿が見られなくなる。この仕様は、ITmediaの記事が指摘するように「投稿を焦らせるUI」として機能し、「いま撮るべきか」を冷静に判断する余裕を構造的に奪う。
仙台市立小学校の教諭は事情聴取に対し「通知が来たので、深く考えずに目の前の画面を撮影してしまった」と話したと報じられている。同じ趣旨の説明が、別の事案でも複数確認されている。「考える前に手が動く」設計だと言ってよい。
② リアル強制──加工できないからそのまま写る
BeRealは前後カメラで同時撮影し、フィルターも加工も一切できない。盛らないリアルを共有するというコンセプトの裏返しとして、背景に映ったものが100%そのまま残る。
InstagramやTikTokなら投稿前にトリミング・モザイク・スタンプで隠せる情報が、BeRealでは隠せない。ホワイトボード、PC画面、書類、手元の紙幣、注文伝票──映り込んだ瞬間が、そのまま証拠になる。
③ 友達限定の誤解──拡散前提じゃない安心感
BeRealの投稿は基本的に友達限定で、24時間で自動削除される。この仕様が「友達しか見ていないから大丈夫」「すぐ消えるから残らない」という心理的なバリアを生む。
しかし、INTERNET Watchの編集部コラムが指摘するとおり、クローズドな投稿でも、閲覧者の1人がスクショや画面録画を取ってXに転載すれば、一瞬で数百万人の目に届く。西日本シティ銀行の動画は、Xで300万回以上表示されたと報じられている。「友達だから大丈夫」は、もはや安全装置として機能しない。
そして──ルールはあっても運用できていない
3つの構造的理由に加えて、組織側の運用ギャップも事故を後押ししている。
ミスタードーナツの運営本部・ダスキンは事案を受け、「本来は勤務前にスマートフォンを預け、勤務中の使用禁止および、知り得た情報の投稿においては定期的な勉強会を開催し禁止であることを伝えておりましたが、徹底できておりませんでした」とコメントしている(J-CASTニュース/ライブドアニュース報道)。
つまり、多くの組織で「ルールはすでに存在している」。問題は、ルールが現場まで浸透し、習慣になるレベルで運用されていないこと。明文化された禁止事項と、現場の判断のあいだに大きなギャップがある状態だ。
「BeRealテロ」という呼び方をめぐって
SNSやネットメディアでは、この一連の事案を「BeRealテロ」と呼ぶ動きが広がっている。一連の事象を指す用語として広く流通しているため、本記事でも報道用語として使用している。ただし、行為の多くは悪意による情報漏洩ではなく、「リテラシーの不足」と「アプリ仕様」が組み合わさった事故型であることに留意が必要だ。
「テロ」という言葉が独り歩きすると、「悪いのは個人だけ」という結論に行きつきやすい。しかし、これだけ業種と立場を問わず連鎖していること自体、社会全体で取り組むべき構造的な課題であることを示している。
家庭・学校・職場でできること
個別の事案に対処するだけでなく、再発防止には日常レベルでの行動変容が必要になる。
家庭で(保護者向け)
- 「通知が来ても撮らない場所がある」を共有する──職場、塾、病院、銀行、学校の事務室、友達の家のリビング。子どもと一緒に「撮ってはいけない場所リスト」を作る。
- 「友達限定なら安全」という発想を疑う──スクショ・画面録画は誰でもできる。閲覧者の中に1人でも転載する人がいれば、もう公開と同じであると伝える。
- BeRealの通知設定を見直す──通知をオフにすると「焦らせるUI」の効果は弱まる。設定変更は数タップで完了する。
- 「これ、5年後の自分が見たらどう思う?」と問いかける習慣──デジタルタトゥーは消えない。就職・進学のタイミングで掘り起こされる事例も実際にある。
学校で(教員向け)
- 校務システム画面の撮影リスクを職員研修で扱う──仙台市立小学校の事案は「自宅で業務用PCを操作中に撮影」とされる。学校の中だけが危険なのではない。
- 生徒のSNS指導と教員自身のSNS指導を別物として整理する──「生徒に教える内容」と「教員自身が実践していること」のあいだに乖離がないかを確認する。
職場で(経営者・管理職向け)
- すでにある社内ルールを「守れる形」に運用し直す──罰則ではなく、習慣化を目指す。新入社員研修の最初の1日にBeRealを名指しで扱う、入退室時のスマホ預かりを物理的なフローに組み込む、など。
- 「友達限定SNSも対象」と明文化する──既存のSNSガイドラインの多くはX・Instagramを念頭に置いている。BeReal・Threads・LINE VOOM・Instagramのストーリーズなど、クローズド寄りのSNSも明示する。
- 事故が起きたあと、個人を晒さない方針を共有する──組織として再発防止策を打ち出す側に回り、個人攻撃に巻き込まれないよう情報統制する(巻き込まれた取引先・顧客対応を最優先に)。
👋
中高生のみんなへ
BeRealやってる人、多いよね。「通知来た瞬間に撮らないと友達の見られないし」「友達しか見てないから大丈夫」──そう思って投稿してる人がほとんどだと思う。
でも、いま大人の世界で起きてる「BeRealテロ」って騒ぎ、実は仕組みそのものはみんなと同じなんだ。
何が起きてる?
2026年4月の1週間で、銀行員、小学校の先生、病院のスタッフ、ピザ屋のバイト、ドーナツ屋のバイト、いろんな人がBeRealに「ふつうの投稿」をした。そこにたまたま、お客さんの名前や、職場の機密情報、お金が映り込んでた。
本人たちは「友達にしか見せてない」と思ってた。でも、友達の中の誰かがスクショして、Xに流した。そこから一気に、何百万人もの知らない人の目に届いた。
これって、自分にも関係ある?
めちゃくちゃある。理由は2つ。
1つ目は、みんなも数年後に社会人になるということ。今のBeReal習慣のままバイトや会社に入ったら、同じ事故を起こす側になる可能性がある。「20代でブラックリスト入り」「就職取り消し」みたいな話は、もう実例として出てる。
2つ目は、今この瞬間も、家・学校・友達の家で「映ってはいけないもの」を撮ってる可能性があるということ。家族のクレジットカード、友達の制服に書かれた名前、塾の答案用紙、テストの問題用紙。BeRealは加工できないから、写った瞬間に証拠になる。
「2分以内」のプレッシャーをどう扱うか
通知が鳴って、2分以内に撮らないと友達の投稿が見られなくなる。だから焦って撮る。これが事故の元になってる。
でも、よく考えてほしい。2分以内に撮らないと困ることって、本当にある? 友達の投稿が今日見られなくても、明日見ればいい。それだけのことのために、自分の人生を巻き込むのは、割に合わない。
覚えておいてほしいこと
通知が鳴った瞬間に撮るんじゃなくて、「ここで撮っていい場所か?」を一呼吸おいて確認するクセをつけよう。
迷ったら、その回はスキップでいい。友達の投稿が今日見られなくても、何も起きないから。
💬 友達や家族と話してみよう
・自分が今までBeRealで撮ったもののなかで、後悔してるものはある?
・「友達しか見ていない」という前提が崩れた瞬間、何が起きると思う?
・これから「撮らない場所リスト」を作るとしたら、どんなところを入れる?
関連情報・参考リンク
このニュースについて、さらに詳しく知るための情報です。
📰 元記事・関連ニュース
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なぜ「BeReal」から漏えいが相次ぐのか “2分以内”の焦りが生む不用意な投稿(2026年4月30日) -
🔗ITmedia NEWS
創業80年の企業も「BeReal」不適切投稿で謝罪 取引先が巻き込まれ対応に苦慮(2026年4月30日) -
🔗INTERNET Watch(編集部コラム)
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「友人限定だから大丈夫」は危険…BeRealで相次ぐ社内情報漏えい、企業と従業員の責任は?(2026年5月1日) -
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