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インターネット事件アーカイブ

2016年〜 子どものオンラインゲーム無断課金トラブル

📅 2016年 発生
🎯 対象: 中学生・小学生・高校生
オンラインゲーム課金トラブル 気づいたら150万円 見えないお金の怖さ

📌 事件の概要

国民生活センターに寄せられる子どものオンラインゲーム課金トラブルの相談は年間4,024件、平均被害額は約33万円。小学生の兄弟が150万円を課金し、決済メールを削除して発覚を遅らせた事例、友達から「キャリア決済はタダ」と教わった事例、母親の指紋認証を突破した事例など、保護者が想定しない”抜け道”が次々と見つかっている。2023年度の平均支払額は小学生10.5万円、中学生19.3万円、高校生22.6万円。「見えないお金」の怖さ、ガチャの心理的なわな、ペアレンタルコントロールの設定方法、未成年者取消権の限界まで、全学年向けに解説。

何が起きたのか

「ゲームで150万円」——それは、ある日突然とつぜんやってくる。

これはサイバー犯罪はんざいはなしではない。家庭の中で起きる「消費者しょうひしゃトラブル」だ。国民生活こくみんせいかつセンターに実際じっさいせられた相談そうだんである。

子どもが保護者ほごしゃ無断むだんでオンラインゲームに課金かきんしてしまう——このトラブルがたか水準すいじゅんで続いている。国民生活こくみんせいかつセンターは2021年・2024年とり返し注意ちゅうい喚起かんきを行い、2025年3月にも未成年者みせいねんしゃ消費者しょうひしゃトラブルに関する現況げんきょう調査ちょうさ公表こうひょうした。この問題もんだいは今も現在げんざい進行形しんこうけいで続いている。

経緯けいい——相談そうだんたか水準すいじゅん推移すいい

2016年〜2019年:トラブルが目立ち始める

スマートフォンの普及ふきゅうとともに、子どもがオンラインゲームに課金かきんするトラブルがえ始めた。国民生活こくみんせいかつセンターへの小中高生しょうちゅうこうせいのオンラインゲームに関する相談そうだんは、2016年度の1,171件から2019年度には2,557件倍増ばいぞうした。

2020年:コロナ急増きゅうぞう

2020年、新型コロナウイルスの影響えいきょうで「おうち時間」がえ、子どもがゲームにれる時間が大きくえた。相談そうだん件数は3,723件急増きゅうぞう

2021年8月:国民生活こくみんせいかつセンターが最初の注意ちゅうい喚起かんき

「スマホをわたしただけなのに…」というタイトルで、保護者ほごしゃ向けに注意ちゅうい喚起かんき発表はっぴょう。150万円課金かきん事例じれいなどが紹介しょうかいされた。

2022年度:相談そうだん4,024件、平均へいきん33万円

相談そうだん件数は4,024件たっした。1件あたりの平均へいきん契約けいやく購入こうにゅう金額は約33万円(一部の高額こうがく事例じれいに引っられた数字で、100万円以上いじょう事例じれいも6.5%ある)。相談そうだんベースでの年間ねんかん合計は約11おく9,000万円にのぼる。相談者そうだんしゃ内訳うちわけは小学生49.4%、中学生37.6%、高校生13.0%で、半数が小学生だった。なお、これはあくまで相談そうだんせられた件数であり、相談そうだんせずに寝入ねいりしているケースを含めると、実際じっさいのトラブルはさらに多いと考えられている。

2024年3月:2度目の注意ちゅうい喚起かんき

国民生活こくみんせいかつセンターが「子どものオンラインゲーム 無断むだん課金かきんにつながるあぶない場面ばめん注意ちゅうい!!」を公表こうひょう。あわせてゲーム業界ぎょうかい団体だんたいやアプリストア運営うんえい事業者じぎょうしゃに対して要望ようぼうも行った。

2025年3月:現況げんきょう調査ちょうさ深刻しんこくさが裏付うらづけられる

国民生活こくみんせいかつセンターの調査ちょうさで、2023年度の小学生の相談そうだん(2,662件)の8わりがオンラインゲーム関連だと判明はんめい平均へいきん支払額しはらいがくは小学生が約10万5,000円、中学生が約19万3,000円、高校生が約22万6,000円にのぼった。

こんなことが実際に起きている——4つの事例じれい

事例じれい① 150万円課金かきん決済けっさいメールを子どもが削除さくじょ

大型連休れんきゅう中、小学生の息子むすこ2人が家族共有のタブレットでオンラインゲームをあそんでいた。タブレットには父親ちちおやのクレジットカード2まい登録とうろくされていた。

4月まつごろから子どもたちが「課金かきんさせて」とわなくなったので不思議に思っていたが——実は勝手かって課金かきんしていた

カード会社からの決済けっさい完了かんりょうメールはタブレットにとどいていたが、子どもたちがメールを「ゴミ箱」に入れていたため、請求書せいきゅうしょが届くまでまったく気づかなかった。被害額ひがいがくは150万円以上いじょう

国民生活こくみんせいかつセンター、2021年公表こうひょう事例じれいより)

事例じれい② 「キャリア決済けっさいはタダ」と友だちに教わった小学生

小学生の子どもが、友だちから「キャリア決済けっさいを使うとお金がかからないよ」おしえられた。

子ども自身も「お金がかかっている」とはおもっていなかった。しかしキャリア決済けっさい携帯けいたい電話の料金りょうきん一緒いっしょ請求せいきゅうされる仕組しくみで、もちろんお金はかかっている

設定せっていによってはパスワードなしで簡単かんたん決済けっさいでき、決済けっさい完了かんりょうメールにも保護者ほごしゃが気づかなかったため、わかったときには高額こうがく請求せいきゅうになっていた。

事例じれい指紋しもん認証にんしょう突破とっぱした小学生

母親ははおやの古いスマホを自宅のWi-Fiにつなげて息子むすこに使わせていた。課金かきんには母親ははおや指紋しもん認証にんしょうが必要な設定せっていにしていたが——

母親ははおやのアカウントにログインしたまま端末たんまつのロックも解除かいじょされた状態じょうたいだったため、息子むすこ設定せってい画面から自分の指紋しもん追加ついか登録とうろく。約5万円が課金かきんされていた。

事例じれい④ 年れいいつわって「20さい以上いじょう」を選択せんたく

1回だけ課金かきんするために保護者ほごしゃがスマホにクレジットカードを登録とうろく。その後、カード情報じょうほう削除さくじょわすれた。

小学生の子どもがれい確認かくにん画面で「20さい以上いじょう」を選択せんたくして、1カ月半で30万円以上いじょう課金かきんしていた。

※年れいいつわって課金かきんした場合、「詐術さじゅつ」と判断はんだんされ返金へんきんみとめられない可能性かのうせいがある

なぜ高額こうがくになる?——課金かきん仕組しく

🎮 オンラインゲーム課金かきんの3つの仕組しく

①「ガチャ」のわな
ゲーム内のアイテムやキャラクターをランダムで手に入れる仕組しくみ。1回は数百円すうひゃくえんでも、ほしいものが出るまで何十回なんじゅっかいも回してしまう。「あと1回で出るかも」——この気持ちが止められなくなる。「何が出るかわからない」というワクワク感(心理学しんりがくでいう「ランダム報酬ほうしゅう」)は、人間ののうがもっとも熱中ねっちゅうしやすいパターンだ。さらに、「ここまで使ったのにやめたらもったいない」という気持ち(「損失そんしつ回避かいひ」)が加わり、ますます止められなくなる。

②「見えないお金」
クレジットカードやキャリア決済けっさいは、おさつ硬貨こうかを使わない。画面のボタンをすだけで課金かきん完了かんりょうするから、「お金を使っている」実感じっかんがない

③「ともだちもやっている」
「みんな課金かきんしてるよ」「課金かきんしないとよわいまま」——友だちの影響えいきょう課金かきんへの抵抗感ていこうかんがなくなっていく。

なぜ「無断むだん課金かきん」は起きるのか——3つのあぶない場面ばめん

⚠️ 国民生活こくみんせいかつセンターが指摘してきする「3つのあぶない場面ばめん

場面ばめん保護者ほごしゃのスマホを、ログインしたまま子どもにわた
保護者ほごしゃのApple IDやGoogleアカウントにログインした状態じょうたいだと、登録とうろくされたクレジットカードで子どもが課金かきんできてしまう。

場面ばめん② 古いスマホをWi-Fiにつなげて子どもにわた
「もう使っていないスマホだから大丈夫」と思いきや、アカウントがのこったままになっていることが多い。

場面ばめん③ ペアレンタルコントロールを設定せっていしていない、または設定せってい不十分ふじゅうぶん
パスワードが簡単かんたんすぎる、課金かきん承認しょうにんをオフにしている、など。

携帯けいたい電話会社(キャリア)も近年きんねん対策たいさくすすめており、キャリア決済けっさい上限額じょうげんがく初期しょき設定せっていひくくしたり、暗証あんしょう番号の入力をもとめたりする仕組しくみが導入どうにゅうされている。ただし、すべてのトラブルをふせげるわけではない。

お金はかえってくる?——法律ほうりつのルール

⚖️ 「未成年者みせいねんしゃ取消権とりけしけん」とは?

民法みんぽうでは、未成年者みせいねんしゃ保護者ほごしゃ同意どういなく契約けいやくした場合、その契約けいやくを取り消すことができるとされている。

ただし、次のような場合は取り消しがむずかしくなる

保護者ほごしゃのアカウントで課金かきんした場合
→ アカウントの持ち主(保護者ほごしゃ)が課金かきんしたとみなされることがある。

❌ 年れいをごまかして「成人せいじんです」と申告しんこくした場合
→ 「詐術さじゅつ」(うそをついて相手あいてをだますこと)と判断はんだんされ、取り消しがみとめられない可能性かのうせいがある。ただし個別こべつ事情じじょうによって判断はんだんが分かれる。

つまり、あとから返金へんきんしてもらえるから大丈夫」ではない

教訓きょうくん

①「無料むりょうゲーム」は本当に無料むりょうではない

基本きほん無料むりょう」のゲームは、課金かきんしてもらうことで利益りえきを上げている。ゲームの設計せっけいそのものが「課金かきんしたくなる仕組しくみ」になっている。

②「見えないお金」は使いすぎやすい

さつを使うときより、画面のボタンではらうときのほうが、お金を使っている実感じっかんがない。だからこそ、自分で「いま○○円使った」と数える習慣しゅうかんが大切。

③「設定せっていしたから大丈夫」ではりない

指紋しもん追加ついか登録とうろくした事例じれい、パスワードを変更へんこうした事例じれい——子どもは保護者ほごしゃが思っている以上いじょうにデジタル機器きき操作そうさにくわしい。技術的ぎじゅつてき設定せっていだけでなく、「なぜ勝手かって課金かきんしてはいけないのか」をはなし合うことが必要。

かくすと問題もんだいは大きくなる

150万円の事例じれいでは、子どもたちが決済けっさいメールを削除さくじょして発覚はっかくおくらせた。早く相談そうだんしていれば、被害額ひがいがくはもっと少なくてんだかもしれない。

⑤ これは「お金の教育きょういく」の問題もんだいでもある

ゲーム課金かきんのトラブルは、「ネットの使つかい方」だけでなく「お金の使つかい方」の問題もんだいでもある。キャッシュレス時代に、お金の価値かち実感じっかんする力はますます大切になる。

考えてみよう

  1. ゲームのガチャで「あと1回だけ」と思ったことはある? そのとき、どうした?
  2. 基本きほん無料むりょう」のゲームは、なぜ無料むりょうあそべるのだろう? ゲーム会社はどうやってお金をかせいでいると思う?
  3. もし課金かきんのルールを家族で決めるとしたら、どんなルールがいい?
  4. 「33万円」は何に使えるお金だろう? ほしいものに換算かんさんしてみよう。
  5. 課金かきんしてしまったことを保護者ほごしゃえないとき、どうすればいいと思う?

私たちができること

🛡️ 保護者ほごしゃができること

① スマホをわたすときは必ずログアウト
自分のアカウントにログインしたままスマホをわたさない。古いスマホをわたすときも同じ。

② ペアレンタルコントロールを設定せってい
子ども専用せんようのアカウントを作り、課金かきんには保護者ほごしゃ承認しょうにんが必要な設定せっていにする。

③ クレジットカード情報じょうほうのこさない
1回だけのつもりでカード情報じょうほうを入力しても、使いわったら必ず削除さくじょ

④ キャリア決済けっさい上限額じょうげんがくを下げる
携帯けいたい電話の契約けいやく時にキャリア決済けっさい上限じょうげん最低さいていにしておく。

決済けっさいメール・明細めいさい定期的ていきてきにチェック
メールは子どもに削除さくじょされることもある。カード明細めいさいもあわせて確認かくにんする。

🎮 子ども自身ができること

① 「課金かきん=お金を使っている」と意識いしきする
ゲーム内の「購入こうにゅう」ボタンをすことは、コンビニでお菓子かしを買うのと同じ。画面の向こうで本物のお金が動いている

② 「あと1回」が一番あぶない
ガチャで「あと1回だけ」と思ったとき、すでにたくさんのお金を使っていることが多い。「止められない」と感じたら、それ自体が危険きけんなサインだ。

③ 「みんなやっている」は理由りゆうにならない
友だちが課金かきんしていても、自分がやるかどうかはべつはなし。お金は自分の(家族の)もの。

こまったらすぐ保護者ほごしゃ相談そうだん
おこられるからえない」ではなく、えないまま金額きんがくえていくほうがもっと大変なことになる事例じれい①のように決済けっさいメールを削除さくじょしてかくすのは、問題もんだいをさらにおおきくするだけ。

📞 トラブルが起きたら

消費者しょうひしゃホットライン 188(いやや!)
最寄もよりの消費生活しょうひせいかつセンターにつながる。未成年者みせいねんしゃ取消権とりけしけんによる返金へんきん相談そうだんもここで。

警察けいさつ相談そうだん専用せんよう電話 #9110

対象たいしょうれい

📚 全学年(小学生・中学生・高校生)

オンラインゲームの課金かきんトラブルは、相談そうだんの約半数を小学生がめている。スマホやタブレット、ゲームを使い始める年れいが早まっている今、小学生のうちから「課金かきんとは何か」「見えないお金のこわさ」を知っておくことが大切。中学生・高校生は自分じぶん判断はんだんする場面ばめんえるからこそ、法律ほうりつの知しき未成年者みせいねんしゃ取消権とりけしけんとその限界げんかい)も知っておきたい。

用語ようごメモ

用語ようご 意味
課金かきん ゲーム内でアイテムやキャラクターなどを買うためにお金をはらうこと。「アプリ内課金かきん」「ガチャ課金かきん」などの形がある。
ガチャ お金をはらってランダムにアイテムやキャラクターを手に入れる仕組しくみ。何が出るかわからないため、ほしいものが出るまでり返しやすい。
キャリア決済けっさい 携帯けいたい電話会社のIDとパスワードで商品しょうひんを買い、代金だいきん携帯けいたい電話の料金りょうきん一緒いっしょ支払しはらう方法。パスワードなしで使える設定せっていになっていることもある。
ペアレンタルコントロール 保護者ほごしゃが子どもの端末たんまつ利用りよう制限せいげん管理かんりする機能きのう課金かきん制限せいげん、アプリの利用りよう時間の制限せいげんなどができる。
未成年者みせいねんしゃ取消権とりけしけん 民法みんぽうさだめられた、未成年者みせいねんしゃ保護者ほごしゃ同意どういなく行った契約けいやくを取り消せる権利けんり。ただし保護者ほごしゃのアカウントでの課金かきんや年れいいつわった場合はみとめられないことがある。
詐術さじゅつ うそをついて相手あいてをだますこと。年れい確認かくにんで「20さい以上いじょう」をえらぶなど、未成年者みせいねんしゃ成人せいじんであるかのように見せかけた場合、契約けいやくの取り消しができなくなる可能性かのうせいがある。判断はんだん個別こべつ事情じじょうによる。
国民生活こくみんせいかつセンター 消費者しょうひしゃトラブルの相談そうだん調査ちょうさ注意ちゅうい喚起かんきを行う独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん消費者しょうひしゃホットライン「188」で相談そうだんできる。

📚 参考さんこう資料しりょう関連かんれん記事

この問題について、以下のサイトでくわしく知ることができます。

📰 ニュース記事・メディア

📖 公的こうてき機関・相談そうだん窓口まどぐち

ℹ️ リンク先は外部サイトです。記事が削除さくじょされている場合があります。

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