📊 動向解説 ● 注意 事件発生 📅 2026年3月3日 公開日 ✏️ 2026年6月4日

10代女性の半数がAIに悩み相談──なぜ親より先にAIに話すのか

内閣府の調査で、10代女性の52.4%が生成AIを「悩み相談」の相手として使っていることがわかった。否定されず、24時間いつでも、取り繕わずに話せる──AIが選ばれる理由の裏には、人に相談するハードルの高さもある。本記事では、AIに相談が集まる背景、肯定への偏りや誤情報といった落とし穴、そして家庭・学校で子どもとどう向き合うかを整理する。

スマホでAIに悩みを相談する10代のイメージ

「親には言えないけど、AIになら話せる」——そんな10代が、いま増えています。

内閣府の最新調査で、10代女性の半数以上が生成AIを「悩み相談の相手」に選んでいることがわかりました。なぜ、人より先にAIに打ち明けるのでしょうか。

🟨 この記事のポイント(1分で理解)

  • 内閣府の調査で、10代女性の52.4%が生成AIの使用目的に「悩み相談」を挙げた
  • 人間関係のアドバイスを「信頼している」と答えた10代女性は63.1%にのぼる
  • AIが選ばれる理由は「否定されない」「24時間いつでも」「取り繕わずに話せる」
  • 一方で、AIの回答は誤りを含むことがあり、利用者を肯定する方向に偏りやすい弱点もある
  • 大切なのは「禁止」ではなく、AIとの“距離感”を子どもと一緒に考えること

10代女性の半数がAIに悩み相談——内閣府調査が示したこと

夜、自分の部屋で。グループのやりとりで起きた小さなすれ違いを、誰に言うでもなくスマホのAIに打ち明ける——いま、そんな10代が珍しくなくなっています。その傾向は、数字にもはっきり表れました。

内閣府の消費者委員会事務局は2026年3月、「生成AI利用者の利用実態に関するアンケート」の結果を公表しました。2026年2月に、10代から70代以上までの各年代の男女103人ずつ、計1,442人の生成AI利用者を対象に行われた調査です。

使用目的を複数回答でたずねたところ、全体では「情報の検索・リサーチ」が76.4%で最多でした。その中で目を引いたのが、10代女性の52.4%が使用目的に「悩み相談」を挙げたことです。女性は20〜40代でも3割を超えた一方、男性はどの年代も3割未満でした。さらに、人間関係や人付き合いに関するAIのアドバイスを「信頼している」と答えた人は全体で38.6%でしたが、10代女性では63.1%に達しました。

生成AIは、勉強や調べものの道具にとどまらず、若い世代——とくに10代女性——にとって「悩みを打ち明ける相手」として定着しつつある、という実態が浮かび上がります。

なぜ親や友達より先に、AIに打ち明けるのか

これは「AIに詳しい一部の子」の話ではありません。スマホを持つ子どもなら、誰にでも起こりうることです。

調査の自由回答や各種報道からは、AIが選ばれる理由が見えてきます。第一に否定されないこと。AIは話をさえぎらず、頭ごなしに叱ったりもしません。第二に24時間いつでも、相手の都合を気にせず話せること。第三に、言葉を取り繕わずに本音を吐き出せること。「人にどう思われるか」を気にせずに済む気軽さが、信頼につながっています。

裏を返せば、これは「人に相談するハードルの高さ」の表れでもあります。親や先生、友達に話すと、評価されたり、心配をかけたり、噂が広まったりするかもしれない——そう感じる子にとって、AIは“安全に思える”相手なのです。AIを責める前に、まず子どもが何にハードルを感じているのかを考えることが、出発点になります。

「相談の順番」が変わってきた

この変化は、単に相談ツールが一つ増えた、という話ではありません。これまで子どもが困ったとき、相談先はおおむね「友達 → 親 → 先生 → 専門の窓口」という順にたどられてきました。そのいちばん手前に、いま「AI」が割り込んでいます。

AIに話して気持ちが落ち着けば、それで十分なこともあります。問題は、AIの返答で“いったん解決した気”になり、本来なら人に相談すべき悩みが、誰にも共有されないまま完結してしまう場合があることです。深刻な悩みほど、最初の相談先がAIだけで止まってしまうと、周りの大人が気づくきっかけを失いかねません。「相談先が増えた」と同時に「人に相談しないルートも生まれた」——この両面で捉えておくことが大切です。

便利さの裏にある3つの落とし穴

AIに相談すること自体が悪いわけではありません。気持ちの整理に役立つ場面も確かにあります。ただし、知っておきたい弱点が3つあります。

① 答えが「あなたは正しい」に偏りやすい

生成AIは、利用者の言葉を受け止め、肯定する方向の返答をしやすい性質があります。心地よい一方で、本当は立ち止まって考え直したほうがよい場面でも「それでいい」と背中を押してしまうことがあります。

② 誤った情報が混じることがある

AIは事実と異なる内容を、もっともらしい文章で答えてしまうことがあります(ハルシネーションと呼ばれます)。法律や医療、人間関係の判断など、間違えると影響が大きいことほど、回答をうのみにするのは危険です。

③ 人とのつながりの代わりにはならない

内閣府の調査では、「AIに頼りすぎて、自分で考える時間が減った」と感じる人が約2割いました。AIだけで完結させてしまうと、人に頼る力や、自分で考えて決める力を育てる機会が減ってしまう懸念があります。

家庭・学校でできること

頭ごなしに「AIに相談するのはやめなさい」と禁止しても、子どもは隠れて使うだけです。大切なのは、上手な距離感を一緒に考えることです。

なお、調査や報道の中には、「消えたい」「つらい」といった深刻な悩みをAIに打ち明ける若者が一定数いる、というデータもあります。AIは話を受け止めてはくれますが、専門の相談窓口ではありません。子どもが強く落ち込んでいるサインに気づいたら、ひとり(本人にも家庭にも)で抱え込ませず、学校のスクールカウンセラーや専門の相談窓口につなぐことが大切です。

AIに相談すること自体は、悪いことではありません。大切なのは、本当に困ったときに“人にも相談できる状態”を残しておくこと。AIを入り口にしてもいい。でも、最後の砦は人であってほしい——そう子どもに伝え続けることが、いちばんの備えになります。

📱 ここからは、子ども本人へのワンポイント

👋
中高生のみんなへ

「友達にも親にも言えないこと、AIになら話せる」——そう感じたこと、あるかもしれないね。実際、いま同じように感じている人はたくさんいるよ。

AIに気持ちを話すのは、悪いことじゃない。もやもやを言葉にすると、自分の気持ちが整理できることもある。

でも、覚えておいてほしいことがある

AIの答えは「正解」じゃなくて、あくまで“ひとつの意見”。しかも、まちがっていることもあるんだ。それに、AIはあなたの言葉に「そうだね」と寄りそってくれやすいぶん、本当は立ち止まったほうがいい時でも、背中を押してしまうことがある。

だから、大事なことを決めるときほど、AIの答えだけで決めないでほしい。

覚えておいてほしいこと
AIは、話を聞いてくれる便利な相手。でもAIの答えは“ひとつの意見”で、まちがうこともある。
本当につらいとき、大事なことを決めるときは、AIだけで抱えこまずに、信頼できる人にも話してみよう。

💬 友達や家族と話してみよう
「AIに相談するのと、人に相談するのは、どこがちがうと思う?」——身近な人と話してみると、新しい気づきがあるかもしれないよ。

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