📊 動向解説 ● 注意 事件発生 📅 2026年6月16日 公開日 ✏️ 2026年6月29日

ニュースはどこで知る?──世界で初めてSNSがテレビを抜き、若者はAIにも聞き始めた

英ロイター・ジャーナリズム研究所の「Digital News Report 2026」で、過去1週間にニュースを知るために使った手段としてSNS・動画ネットワークが初めてテレビと新聞サイトを上回った(48市場の平均・複数回答)。「主なニュース源」では18〜24歳の半数がSNS・動画・AIと回答。一方で日本はまだニュースサイトが優勢という違いもある。情報の「入口」が変わる時代に、家庭と学校で何を意識すべきかを、信頼性やフェイクニュースの観点から整理する。

ニュースの入手先がSNS・動画・AIへ移る変化を示すイメージ

あなたは、今日のニュースをどこで知りましたか?──テレビ? ニュースサイト? それとも、SNSを見ていたら「たまたま流れてきた」?

2026年6月、世界規模の調査で、その「入口」が変わったことが分かりました。過去1週間にニュースを知るために使った手段として、SNS・動画が、48市場の平均で初めてテレビとニュースサイトを上回ったのです。

🟨 この記事のポイント(1分で理解)

  • 世界48市場の調査で、過去1週間にニュースの情報源として使った人の割合が、SNS・動画ネットワーク54%となり、テレビ(52%)・ニュースサイト(51%)を初めて上回った(複数回答・世界平均)
  • 主なニュース源」で見ると、SNS・動画は世界平均30%。18〜24歳ではSNS・動画・AIを合わせて52%が「主なニュース源」と回答
  • AIチャットボットでニュースに触れる人も世界で10%(前年7%)に増加。ただし「主なニュース源」と答えた人は1%
  • 日本では、今もニュースサイト・アプリの利用がSNS・動画を上回っている
  • SNSでは「探していないのに偶然目に入る」利用が多い一方、AIは自分から質問して調べる利用が中心。どちらも従来型メディアより信頼されにくい傾向がある

ロイター調査2026で何が分かったか

イギリスのオックスフォード大学にあるロイター・ジャーナリズム研究所は、2026年6月16日、世界のニュース利用動向をまとめた「Digital News Report 2026」を公開しました。世界48の国・地域にあたる市場で、約10万人のオンラインニュース利用者を対象に行われた、この分野で最大級の継続調査です(今回で15回目)。

※この調査は原則として18歳以上を対象としたオンラインアンケートです。数字は世界人口全体の割合ではなく、調査した48市場の平均値です。また、オンライン調査のため、ネット上のニュース利用が実際よりやや多めに表れる可能性があると研究所自身が注記しています。

最大の発見は、過去1週間にニュースを知るために使った情報源として「SNS・動画ネットワーク」を挙げた人が54%に達し、テレビ(52%)や新聞社などのニュースサイト・アプリ(51%)を初めて上回ったことです。これは「どれを使ったか」を複数回答で尋ねた数字で、同じ人がテレビもSNSもニュースサイトも使っている場合を含みます。AIチャットボットの利用者も含め、重複を除いて集計すると、こうしたプラットフォーム経由は56%になります。

ただし、SNS・動画とテレビの差はわずか2ポイント。ロイター研究所自身も「急激なシフトというより、緩やかな移動」と説明しています。テレビとニュースサイト・アプリの利用は2020年と比べてそれぞれ13ポイント、12ポイント低下する一方、SNS・動画ネットワークは長期的には比較的安定しており、結果として順位が入れ替わりました。この情報源の構成変化は、すべての年代で起きています。

なぜこれがネットリテラシーの問題なのか

これは「大人のニュースの話」ではありません。若い世代が世界を知る“入口”が、すでに変わっているという話です。

調査によれば、18〜24歳の52%が、SNS・動画・AIを「主なニュースの入手先」と答えています。これは次に多い情報源を32ポイントも引き離す数字です。大学生や社会人になったばかりの世代では、ニュースは「見にいくもの」ではなく、SNSや動画を眺めているときに「流れてくるもの」になりつつあります。

ここに、ネットリテラシー上の課題があります。SNSや動画で流れてくるニュースは、本人がニュースを探して選んだものではなく、アルゴリズムがおすすめした断片的な情報であることが少なくありません。報告書でも、SNS・動画ネットワーク上のニュースは、従来型のニュースメディアより信頼されにくい傾向が示されています。ネット上の偽情報を心配する人も、世界平均で62%に増えました。

ただし、「SNSで見たから間違い」と決めつけるのも正しくありません。同じSNSの中にも、新聞社の公式投稿、行政機関の発表、個人の感想、出所不明の切り抜き動画が混ざっています。SNSは情報の「発信元」ではなく「経路」です。大切なのは、どのアプリで見たかだけでなく、誰が発信した情報なのかを確認することです。

SNSとAIで知るニュースの注意点

① ニュースは「選んで読む」より「流れてくる」へ

調査では、X(旧Twitter)とYouTubeを除く多くのSNS(Facebook・Instagram・TikTokなど)で、利用者の多くが「ニュース目的ではなく、他のことをしているときに偶然見ている」と答えています。若い世代のニュース利用では、Instagramをニュース目的で使う人が18〜24歳の42%にのぼり、最も大きなSNSになりました。一方、Xをニュース目的で使う人は15%まで下がっています。大事なのは、流れてくる情報を「自分が選んだ確かな情報」と思い込まないことです。

② AIにニュースを“聞く”人が増えている

ChatGPTなどのAIチャットボットでニュースに触れる人は、世界で10%(前年7%)に増え、若い世代ほど高い傾向です。AIをニュースに使う人の42%が「追加で質問する」と答え、これが最も多い使い方になっています。SNSと比べると、AIチャットボットは自分から質問してニュースを調べる、比較的意図的な利用が多いと分析されています。ただし、AIチャットボット経由のニュースを信頼すると答えた人は全体で20%(ニュース全体は37%)。実際の利用者に限ると44%、使っていない人では17%と差があります。なお、AIを「主なニュース源」と答えた人は、まだ1%にとどまります。AIの要約は便利な出発点ですが、文脈が抜けたり、もっともらしい誤りが混じったりすることもあるため、気になったら元の記事までたどる習慣が役立ちます。

③ では日本はどうか

ここは正確に押さえておきたいポイントです。「SNSがニュース源で首位」というのは世界48市場の平均の話で、日本にはあてはまりません。ロイターの調査でも、ニュースサイト・アプリがまだSNS・動画より使われている市場として、シンガポール・台湾・韓国とならんで日本が挙げられています。日本は新聞社や放送局のサイト、ニュースアプリの利用が比較的根強い国です。世界平均と同じ変化がそのまま日本で起きるとは限りません。ただし、日本でも若い世代を中心にテレビ離れや動画利用は進んでおり、今後を考えるための重要な材料になります。

家庭・学校でできること

👋
中高生のみんなへ

ニュースって、わざわざニュースサイトを開いて読む、というより、TikTokやInstagram、YouTubeを見ていたら「なんか流れてきた」ということのほうが多くない? 実はそれ、多くの国や地域で起きている変化なんだ。

この調査は18歳以上が対象だから、中高生のみんなを直接調べた数字ではないよ。でも、少し上の18〜24歳では、半数以上がSNS・動画・AIを「主なニュース源」と答えている。似た感覚を持っている人もいるかもしれないね。

便利だし、それ自体は悪いことじゃない。でも、ひとつだけ。SNSは「便利な一方で、信頼できる情報と不確かな情報が混ざりやすい場所」でもある。新聞社の公式投稿も、誰かの切り抜きも、同じ画面に並んで流れてくる。だから「どのアプリで見たか」より「誰が言っているか」が大事なんだ。

AIに聞くときも、ひと手間だけ

最近はAIにニュースを聞く人も増えている。要約してくれて便利だよね。でもAIは、もっともらしく間違えることもある。気になったニュースは、AIの答えで終わりにせず、示された出典や元の記事を一度確認する。これだけでも、誤った情報をそのまま信じ込むリスクを下げられる。

覚えておいてほしいこと
SNSやAIで「これ本当!?」と驚いたときほど、リポストやシェアの前にひと呼吸。
「誰が言ってる?」「いつの話?」「元の記事や公式発表はある?」──この3つを確かめてから動こう。発信するより先に、検証する。

💬 友達や家族と話してみよう
「今日のニュース、どこで知った?」をお互いに聞いてみよう。みんな案外バラバラで、同じ出来事でも見えている情報が違うことに気づくはず。

関連情報・参考リンク

このニュースについて、さらに詳しく知るための情報です。

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